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近年、口腔衛生と心血管転帰との関連を示唆する報告が増えているが、それらの多くは歯の喪失(残存歯の数)に注目したものである。
宮野氏らは「歯の数のみに基づいた口腔機能の評価では、食物咀嚼の複雑さや健康における歯の役割を十分捉えられない」と指摘。
後部咬合接触は効率的な咀嚼と良好な歯の健康に不可欠であるため、同氏らは日本医療データセンター(JMDC)から2016年4月~22年3月に実施された健康診断データを入手し、必要なデータがそろっている約121万例を抽出。
後部咬合接触の状態とと心血管疾患リスクとの関連を解析した。
結果、宮野氏らは「後部咬合接触の低下がが心血管疾患Dリスクの上昇と関連し、口腔衛生、特に咬合接触/支持が心血管疾患リスク評価の鍵となることが明らかになった」と結論。
今回の知見は、臼歯部における咬合接触/支持の維持または回復が、修正可能な心血管疾患予防のターゲットとなりうることを示唆するものである。
心血管疾患リスク低下のための公衆衛生戦略としては、義歯の提供による早期介入も重要だ、と付言している。